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文部科学省、大学の理工農系分野を拡充する支援事業(関西地域)→ 関西大、桃山学院大など新規学部設置が予定

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  文部科学省は、7月21日(金)、3000億円の基金を活用して大学の理工農系分野を拡充する支援事業に、国公私立の大学・高専から111校の計118件を選んだと発表しました。 ↓↓外部リンク↓↓ 文部科学省:成長分野をけん引する大学・高専の機能強化に向けた基金による継続的支援  現在、日本の理系学位取得者の比率は、海外の先進国に比べ低く、この支援事業等を通じて、 約半数 に引き上げることを目標としているとのことです。  この公募では、① 再編により理工農系への「学部転換」を目指す支援(原則8年以内最大20億円程度まで助成)と、② 高度な「情報人材」の養成などを後押しする(一般枠:最長10年間最大10億円程度まで助成)、2つの支援があります。選定結果は次の通りです。なお、今後3年以内に文科省へ設置認可等の手続きが必要となります。 驚き! (関西地域のみ)  1. 文系学部のみであった「 桃山学院大学 」、「 追手門学院大学 」に理系学部を設置!  2. 関西地域の牽引役、「 関西大学 」に新学部、 ビジネスデータサイエンス学部 の設置!  3. 「 甲南大学 」、「 京都橘大学 」既存学部の拡充(新学科設置)!  4. 「 京都女子大学 」「 武庫川女子大学 」、「 大阪経済法科大学 」に新学部設置! 表 関西地域のみ抜粋 大学 学部・学科 京都女子大学 食農科学部 京都光華女子大学 食品生命科学科 京都橘大学 工学部デジタルメディア学科 デジタルメディア通信教育課程 ロボティクス学科 桃山学院大学 工学部地域連携DX学科 大阪電気通信大学 建築・デザイン学部建築・デザイン学科 追手門学院大学 理工学部理工学科 関西大学 ビジネスデータサイエンス学部ビジネスデータサイエンス学科 システム理工学部グリーンエレクトロニクス工学科 大阪経済法科大学 情報学部情報学科 甲南大学 環境・エネルギー工学科 武庫川女子大学 環境共生学部環境共生学科 関西国際大学 情報学部情報学科 ・大和大学との関係では、 大阪経済法科大学 は、大学としての方向性が似ており、情報学部に関する競争が興味深い。 近畿大学がダメだった場合、東大阪市、八尾市などに住んでいる高校生は、どちらを選ぶのか? 大阪経済法科大学は、公務員、公認会計士、法科大学院進学をはじめとする難関試験合格や資格取得を目指す学生をサポ

大和大学の"激狭"個人研究室から考える梅光学院大学研究室訴訟(→棄却)

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 近年、企業の職場において、自分の固定席を持たずに自由に席を選択して働く形態、いわゆる フリーアドレス 制 は珍しくなくなっています。このフリーアドレス制を導入することで、 ・職員間でのコミュニケーションが活性化する、 ・職場の空間を有効活用できる、 などが期待できる、とされています。  このようなこともあり、2019年4月、 梅光学院大学 (←外部リンク、山口県下関市)の新校舎「 The Learning Station CROSSLIGHT 」(←外部リンク)では、「個人研究室」(= 個室 の個人研究室)は存在せず、仕切りがない空間に、教員・職員がフリーアドレス制で働くということを導入し、話題となりました(梅光学院としては、「共同研究室」と捉えているとのこと)。  【参考】 ・ japan-architectsブログ:小堀哲夫による梅光学院大学新校舎「The Learning Station CROSSLIGHT」 (←外部リンク) ・ 地方大学改革を「教室」から始めた理由 小堀哲夫氏のThe Learning Station CROSSLIGHT(前編) (←外部リンク) ・ 写真50枚でわかる、地方大学が最新校舎に込めた「コミュニケーションが生まれる」仕掛け 小堀哲夫氏の梅光学院大学「The Learning Station CROSSLIGHT」(後編) (←外部リンク)   そこで、 2021年8月梅光学院大学の一部の教員や元教員が個人研究室を喪失したことで研究・教育活動に支障が生じていること等のことから理事会に対して損害賠償請求 を行いました(この新校舎の建設を決めた当時の梅光学院理事長、本間政雄さんは元・文部科学省の職員さんで、ご著書もある大学改革派で有名な方)。 ( ↑↑: 原告団作成のHP )       7月18日(火)、梅光学院大学の裁判(地方裁判所)の判決が出ました 。 判決要旨(注意)  → 棄却 (原告側は控訴を検討) 「教員と大学の雇用契約では、研究室を利用させることが大学の付随義務になっている」と指摘した上で、研究室の面積、利用形態、設備について具体的な定めや基準はなく、 大学側がどのような研究室を設置し、割り当てるかは「相当に広い裁量を有している」とし、「原告らの権利や利益を侵害したとはいえない」 と結論づけた。 (出典: 朝日新

関西有名私大の私立大学等経常費補助金、大和大学は?(→ Fラン未満)

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 素朴な疑問として、 いわゆるFラン大学にどれくらいの金額の税金が補助金として交付されているのか? 、気になり調べていると、次のサイトに辿り着きました。   日本私立学校振興・共済事業団 私学振興事業本部 私立大学等経常費補助金 (←外部リンク)  この私立大学経常費補助金には、① 教職員の給与費、教育と研究の経費等を対象とする「 一般補助 」のほか、② 特定の分野や課程等に係る教育・研究の振興を図るために「 特別補助 」の枠があります。またこの私学事業団は、文部科学省の外郭団体で、私立学校教育の振興を行う国内唯一の機関です。私学助成金の交付が主な業務の一つで、各校の教育研究条件の維持向上や学生の経済的負担の軽減、経営状況の健全化などを目的に毎年助成金を交付している、とのことです。  経常補助金の交付額に関する計算式は大変複雑で、 一般的に学生数や職員数が多いなど規模が大きい有名大学や、情報公開の積極度合い、組織として教育改善に取り組んでいるなど教育条件が良いとされる大学も交付額が大きくなる傾向 にあります。計算式の詳細は、 補助金の配分基準等のHP (←外部リンク)からをご覧ください。  そこで、大和大学の補助金額は次のようで、総額(5年間) 2億4598万1000円 の補助金の交付されています。結果的には、 大学の規模の割りには補助金が配分されていません。 これは、学部における定員超過、 教職員の少なさ 、また情報公開が進んでいない、積極的には大学改革等を行っておらず、 減点が多い のだと推測しています(新設の学校は、完成年度(卒業生を出す年度)の翌年度から補助対象となるため、平成30(2018)年以前は補助金対象外でした。)。 表1  補助金額等の推移(過去5年分) (単位:千円) H30(2018) R1(2019) R2(2020) R3(2021) R4(2022) 順位 556 564 499 441 567 合計 28,692 17,091 68,033 101,789 30,376 一般 28,692 17,091 67,033 101,789 30,376 特別 0 0 1,000 0 0 (出典: 私立大学等経常費補助金 の情報を独自加工)  また、関西有名私大(注意)のみを切り出すと次のようでした。関西では、補助金総額が最も多いのが、立命館大

大和大学の偏差値上のライバル、関西学院大、新たなキャンパス、王子キャンパス建設へ

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 直近の 河合塾が発表している偏差値 (←外部リンク)を見てみると、 大和大学政治経済学部は、関西学院大学経済学部と同等レベル となっています(経済学部:同志社大>関西大>立命館大=関西学院大=近畿大=大和大)(←この結果は驚きの結果ですが、難関大学を狙う受験生が冗談半分で志望大学欄に入れている、約9割近くを推薦入試で定員を埋めている等の理由で偏差値が高いと考えています)。 (出典: 河合塾Kei-Net )  少し前まで長い間、関関同立の中でも、同志社大学の次という位置であった関西学院大学でした(主観)。しかし、関西学院大学は最近推薦学院と揶揄されるように、推薦入学率65%(2020年度入試)と比較的高く、一般入試では入学することが敬遠されるような大学、また そもそも立地が良くない ことから(優秀な)受験生の確保が難しい状況となってきており、レベルが低下していると考えています。  このような状況を打開するため、(大学関係者は思っていないかもしれませんが、)何らかの方策が必要な状況に陥っていました。2022年12月に、神戸市の王子公園再整備において、王子動物園のリニューアルやスポーツ施設の再編、新たな大学の誘致などを盛り込んだ「 王子公園再整備基本方針 」(← 外部リンク)を策定されたことにより、大学設置者を公募していました。そこで、この計画に「学校法人 関西学院」が応募し、優先交渉権者として採択されました。 【参考】 神戸市:王子公園再整備にかかる大学設置・運営事業者公募 結果の公表 (←外部リンク) ↓大学ゾーンにある現在の王子スタジアム (出典:神戸市王子スタジアム、 Wikipedia ) (撮影:神戸市王子スタジアム周辺)  ただし 地域住民からの反対運動 (←外部リンク、周辺は閑静な住宅街であり、キャンパスができることで街が大きく変わることが予想されるため、地域住民は嫌だと思います。そのためか地域貢献もしっかり行うと事業実施構想に明記)もあり、実際に新キャンパス設置までには何からしらの問題はありそうです。仮に、計画通り王子公園に新キャンパスができたら、これをきっかけとして、 人気が再燃するのか、また定員増による偏差値低下 となるのか、見守りたいところです。 現在、公表されている関西学院大学の構想(詳細: 提案の概要(PDF:1,820KB) ←神戸市HP

グローバルビジネス学科の学科運営上の狙い:大学設置基準の改正

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  大和大学政治経済学部グローバルビジネス学科 (←外部リンク)は、文部科学省  令和6年度からの私立大学等の収容定員の増加等に係る学則変更予定一覧(2023/4/7) (←外部リンク)の「 令和5年3月末申請の収容定員の増加等に係る学則変更認可の諮問について 」(←外部リンク、PDFファイル、下図抜粋加工)を見る限り、2024(令和6)年4月からグローバルビジネス学科の新設は認められたようです。 (出典:文部科学 省   令和5年3月末申請の収容定員の増加等に係る学則変更認可の諮問につい て を加工)  上図にもあるように、この資料には他大学とは異なり、赤色下線を引いた「 改正後 の大学設置基準による認可申請 」という記述があり、気になったため調べてみました。ちなみに、同じ2024年4月、地理的にも近い 大阪経済大学 に国際系の学部、「 国際共創学部 」(←外部リンク)(入学定員120名)が設置される予定となっています。受験生は大和大学と大阪経済大学のどちらを選ぶのか、ということも興味深いです。  この 大学設置基準(昭和三十一年文部省令第二十八号) (←外部リンク)は大学を設置に 必要な最低の基準 に関する省令です。この大学設置基準は、中央教育審議会大学分科会質保証システム部会での提言を踏まえ、令和4(2022)年10月1日に一部が改正・施行されました。  主な改正のポイント: (1)基幹教員制度の導入  基幹教員は、年8単位以上の科目を担当するといった条件を満たせば、非常勤でもなることができ、また基準で最低限必要と決めらている教員数にカウントすることもできる。 → メリット :例えば、クロスアポイントメント制度を利用し、企業等から専門家を企業に籍を残しながら教員として雇用しやすくなり、社会のニーズに沿った教育・研究サービスを提供しやすくなる。   また、一定条件を満たせば非常勤も基幹教員となることができることから、学部に配置する教員の数をなるべく少なくし、人件費を抑えることも以前よりかは容易となる。   デメリット :教員の兼務の増加による教育の質低下 (2)施設及び設備 改正前 :原則として校舎と同一の敷地内又はその隣接地に、運動場を設けるものとされ、体育館も原則必置 改正後 :運動場・体育館等のスポーツ施設、講堂、寄宿舎・課外活動施設等の厚生補導施設につい