大和大学 学歌の制定:大志をまとえ

 2023年4月1日に大和大学の学歌ができたようです。 しかし、ネット上では誰も取り上げていないようなので、ここで取り上げます。 話題になっていない学歌は、次です。 

大和大学 学歌
<作詞>田野瀬 良太郎
<作曲> 松本 伸司

燃える情熱 ともに寄せあい

絆は強き 友情の大輪

ああ 大和

大和 大和 大和

大和大学 大志をまとえ


真理を極める 進取の精神

世界に開く 先進の学び

ああ 大和

大和 大和 大和

大和大学 大志をまとえ


栄光あるわれらの 未来をつくるため

果てなき道を つきすすむ若き夢

ああ 大和

大和 大和 大和

大和大学 大志をまとえ



 歌詞は、情熱・夢や大学での研究教育などについて、後半は同じで、「大志をまとえ」で締めくるといったもの。また、この「大志をまとえ」は、大学としては、次の意味があるようです。言っていること自体、特に間違いではないと、感じます。
(出典:大和大学HP)

 そもそも校歌(・学歌)は「学校で建学の理想をうたい、校風を発揚するために制定した歌」(広辞苑←Wikipedia)のことを言うとのこと。この校歌・学歌を制定することで、大学の教育方針を歌に詠み、歌うことによって学生に確認させる、愛校心を育てる、といった役割があると思います。


 そこで、これだけの情報からでは、なかなか評価できない。巷では、「三大校歌」(←人により異なる)というものがあり、これに加え、計5つの有名な私立大学(早稲田大学、明治大学、法政大学、慶應義塾大学、近畿大学)と同じ学園の西大和学園中学校・高等学校の学歌・校歌と比較してみました。

比較結果
・大学名「大和」(計15回、2番目に多い)を連呼することから、早稲田大学や近畿大学と同様のタイプの歌詞
・歌詞は、他大学よりも単純で分かりやすい、また短い
・歌詞は、田野瀬学長、自らが作成し、早稲田大学や法政大学にあるような学生目線ではなく、近畿大学と同じ創立者目線
・作曲は、他大学のようなプロ作曲家が作成したのではなく、大学職員が作成

校歌に関する研究論文

参考:他大学の校歌

(1)早稲田大学(創立25周年(明治40年、1907年)に制定)【大学HP】(←外部リンク、音源もダウンロードできます)

相馬御風 作詞 東儀鉄笛 作曲
1.
都の西北 早稲田の森に
(そび)ゆる甍(いらか)は われらが母校
われらが日ごろの 抱負を知るや
進取の精神 学の独立
現世を忘れぬ 久遠の理想
かがやくわれらが 行手を見よや
わせだ わせだ わせだ わせだ
わせだ わせだ わせだ

2.
東西古今の 文化のうしほ
一つに渦巻く 大島国の
大なる使命を 担ひて立てる
われらが行手は 窮り知らず
やがても久遠の 理想の影は
あまねく天下に 輝き布かん
わせだ わせだ わせだ わせだ
わせだ わせだ わせだ

3.
あれ見よかしこの 常磐の森は
心のふるさと われらが母校
集り散じて 人は変れど
仰ぐは同じき 理想の光
いざ声そろへて 空もとどろに
われらが母校の 名をばたたへん
わせだ わせだ わせだ わせだ
わせだ わせだ わせだ
感想等:三大校歌の一つと言われ、大学の校歌の中で、最も有名。「わせだ」と21回、繰り返し、最も多い(小林,2020)。また、歌詞は学生目線。応援歌「紺碧の空」も有名。

(2)明治大学 (1920年10月制定)【大学HP】(←外部リンク、音源もダウンロードできます)

児玉花外 作詞 山田耕筰 作曲

白雲なびく駿河台
眉秀でたる若人が
撞くや時代の暁の鐘
文化の潮みちびきて
遂げし維新の栄になふ
明治その名ぞ吾等が母校
明治その名ぞ吾等が母校

権利自由の揺籃の
歴史は古く今もなほ
強き光に輝けり
独立自治の旗翳し
高き理想の道を行く
我等が健児の意気をば知るや
我等が健児の意気をば知るや

霊峰不二を仰ぎつつ
刻苦研鑚他念なき
我等に燃ゆる希望あり
いでや東亜の一角に
時代の夢を破るべく
正義の鐘を打ちて鳴らさむ
正義の鐘を打ちて鳴らさむ
感想等:三大校歌の一つと言われ、メロディーが良いと評判です。作曲の山田耕筰さんは、「赤とんぼ」「待ちぼうけ」の作曲者でも知られ、教科書にも登場する日本を代表する作曲家です。

(3)法政大学 (1930年制定【大学HP】(←外部リンク、音源もダウンロードできます)

作詞・佐藤春夫、作曲・近衛秀麿
(1)
若きわれらが命のかぎり
ここに捧げて(ああ)愛する母校
見はるかす窓(の)富士が峯の雪
蛍集めむ門の外濠
よき師よき友つどひ結べり
法政 おお わが母校
法政 おお わが母校

(2)
若きわれらが命のかぎり
ここに捧げて(ああ)愛する母校
われひと共にみとめたらずや
進取の気象質実の風
青年日本の代表者
法政 おお わが母校
法政 おお わが母校
感想等:三大校歌の一つと言われ、校歌作成のために「学生委員が、帽子を持って学生の間を回ると、すぐ帽子が銀貨でいっぱいになった」といわれています。学生が主体になって制定したということで、「母校」が多く出てきて、学生目線の歌詞が特徴的です。

(4)慶應義塾大学 (1940年制定 【大学HP】(←外部リンク、音源もダウンロードできます)

富田 正文 作詞、信時 潔 作曲
一、
見よ
風に鳴るわが旗を
新潮寄するあかつきの
嵐の中にはためきて
文化の護りたからかに
貫き樹てし誇りあり
樹てんかな この旗を
強く雄々しく樹てんかな
あゝわが義塾
慶應 慶應 慶應

二、
往け
涯なきこの道を
究めていよゝ遠くとも
わが手に執れる炬火は
叡智の光あきらかに
ゆくて正しく照らすなり
往かんかな この道を
遠く遥けく往かんかな
あゝわが義塾
慶應 慶應 慶應

三、
起て
日はめぐる丘の上
春秋ふかめ揺ぎなき
学びの城を承け嗣ぎて
執る筆かざすわが額の
徽章の誉世に布かん
生きんかな この丘に
高く新たに生きんかな
あゝわが義塾
慶應 慶應 慶應
感想等:歌詞が他大学よりも、難しい。この塾歌のみならず、「若き血」(応援歌)、「慶應讃歌」もあるようです。

(5)近畿大学 (制定年、不明【大学HP】(←外部リンク、音源もダウンロードできます)

作詞/世耕 弘一、作曲/樋口 昌道
1.
金剛山はほのぼのと
明けて生駒も目ざめたり
世界の平和祈りつつ
文化の鐘を高鳴らす
若き学徒を讃えずや
近畿 近畿 近畿
近畿大学 おお近畿

2.
開けゆく代のさきがけと
進む行く手に栄えあれ
理想の光あいおいて
真実一路あこがれの
若き学徒に誇りあり
近畿 近畿 近畿
近畿大学 おお近畿

3.
外国までも響けよと
高き文化の足音を
互いに誓い競い立ち
真理に愛に魂結ぶ
若き学徒にほまれあれ
近畿 近畿 近畿
近畿大学 おお近畿

感想等:世耕弘一 さん(初代総長、理事長)が作詞されたということで、学生目線ではない。
早稲田大に次ぐ、2番目に多く、15回大学名「近畿」と連呼(小林,2020)。その他、近大節(応援歌)や近大の唄(←外部リンク)などある。

(6)西大和学園中学校・高等学校 (制定年、不明【学園HP】(←外部リンク、音源もダウンロードできます)

作詞:田野瀬 良太郎
作曲:松本 伸司
1. 
泰然たり生駒山稜
望むはすがしき西大和の丘
たぎりし熱き血潮ここに集い
雄々しくもつらぬかん青雲の志
ああ永遠なり西大和学園

2.
誠実なり澄みしまなざし
仰ぐはやさしき西大和の丘
契りは永遠に固き友情の輪
謹みて尊ばん師の教え
ああ清栄なり西大和学園

3.
はるかなり偲びし古塔
誇るは気高き西大和の丘
輝くわれらの未来築くため
勤しみてみがかん若人の叡智
ああ限りなき西大和学園

感想等:大和大学と同じ人による作詞・作曲。構成、情熱、友、学び、夢と大学と基本同じ構成。ただ大学にはない「西大和の丘」という地理的環境があるのが特徴。逆に言えば、大学は地理的環境は関係なくなり、複数地によるキャンパスも可能性があることを意図しているとも解釈することができるか?

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田野瀬大和大学学長さん (2022年6月19日公開)

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